肺梗塞の原因
肺梗塞は,機能的終末動脈が閉塞されて,肺組織に出血性の壊死が起きることをいいます。しかし,緩徐に進行する閉塞では,側副血行路が発進したり,萎縮して壊死に陥らないこともあり,梗塞となるには,通例,動脈の急激・完全な閉塞が必要です。
肺梗塞の大部分は血栓・塞栓症に引き続いて起きます。肺梗塞は外観上,乏血により蒼白がみられる貧血性梗塞と,梗塞領域に出血を伴う出血性梗塞とに分けられます。
心臓や腎などは貧血性梗塞の形をとることが大半ですが,肺では出血性梗塞が多く,それらと異なっています。肺は肺動脈と気管支動脈の二つの血管系の支配を受けていて,毛細血管の吻合も多いです。
肺動脈枝が血栓により閉塞されてしまうと,肺組織は虚血になってしまいますが,その7割強では同時に毛細血管から肺胞内に血液が濾出し,組織は充血・暗赤色をおびます。
しかし,気管支動脈からの血液供給により,組織が生きのびていることもあり,治癒する例も多いです。 肺梗塞はうっ血性心不全,慢性肺疾患,ショックの持続などで頻度が高くなることが認められており,これらの病態で気管支循環が障害されていることがその理由とされています。
肺血栓塞栓以外の肺梗塞の原因としては,肺血管を含む血管
炎や,敗血症性塞栓があります。
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肺梗塞の症状
肺梗塞の症状は多くの場合が肺塞栓に引き続いて起きます。このため症状は肺塞栓に起きるものと同様です。突然の呼吸困難,咳,などが肺塞栓の発症を疑わせます。
症状としては、塞栓部より末梢の肺組織は虚血となり,壁側胸膜にも刺激を与え胸膜痛が起ます。また,肺実質内への出血は,気道を経て喀血としてあらわれ,肺梗塞への進展の症候となります。
他の症状としては発熱を伴うことも多いです。下腿浮腫や静脈炎の徴候は,下肢深在静脈血栓が原因と推定される有力な証拠です。
肺梗塞の治療
肺梗塞では,同時に多発性の肺塞栓を合併していることが多です。そのため,治療は肺塞栓におけると同じように行います。抗凝固療法と右心不全の治療をします。喀血が存在しても抗凝固薬の使用は禁止とはなりません。
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